孤独のグルメ2

孤独のグルメといえば、掲載誌の廃刊で短命に終わりながらも根強い人気があって、十数年後しに奇跡のドラマ化で大ブレイク、その追い風を受けて漫画版もついに第2巻が発表されました。

ただ、個人的にはちょっと嫌な予感を感じて読まずじまいでして、遅ればせながら読んでみたのですがやはり予感は当たっていましたね。ドラマに大きく引っ張られすぎて、さらに悪乗りしてそろばんをハジきすぎた結果、第1巻とは似て非なる作品に仕上がってしまいました。

ドラマ版についてはここで詳しく語る気は無いですが、漫画版とは明らかに別物です。初期シリーズこそ模索の跡も見られますが、結局のところドラマという体の単なる食レポ&街歩き番組でした。ただし、漫画のドラマ化としては高評価はできませんが、漫画版と別物の食レポ番組と割り切ればそれなりに楽しめました。そう、あくまで別物と割り切ることで。

漫画版のファンが別物と割り切って大人の対応をしていたのに、2巻では漫画の方からドラマ版にすり寄るという失態を犯してしまいました。さらには、ファンサービスを狙ったセルフパロディも不自然にとってつけたようで、逆にファンの神経を逆なでするようなものになっていました。案の定、多くの旧作ファンからかなり反感を買ってしまったようです。

旧作では店での食事シーンや料理の感想を丹念に描く食レポ的なノリは少なく、それよりも「外で一人で食事をする」という行動そのものにスポットが当てられていいました。
なのでひと口に外食と言っても公園の食堂やデパート屋上や球場の売店、ベタな観光客向けの食堂や車内での駅弁、仕事場でのコンビニ飯に至るまで多様なシチュエーションでの一人メシ体験が展開されていました。
食レポ要素の濃い回でも、行きがかりで普段入らないような店に入ってちょっとした非日常を味わったり、システムにとまどったり、なめてた店が予想外に美味くて衝撃を受けたりといった、その店に入ることでちょっとしたドラマがありました。主人公の一人語りやボヤきの名台詞、オーダーの組み立ての拘りや名物シーンのアームロックも、その中で生まれた一要素に過ぎないでしょう。
そういった副次的な要素がウケたせいで変な形で一人歩きしてしまいましたが、それらはあくまでいろどりであって、外での一人メシというシチュエーションから生まれる何気ない情景やドラマの自体に、旧作ファンは魅力を感じていたのではないでしょうか。

旧作自体も大げさに持ち上げたり名作と呼ぶような作品ではいし、ちょっとハナにつくところもありました。もともとテーマなんかもそんなに深いものはなかったと思いますが、結果的に忘れがたい不思議な魅力を持つ作品になっていました。

新作も全く楽しめないかというとそういうわけではないのですが、やはりドラマのようにルーチン化した食レポ展開が多く、ゴロー節が聞ける楽しみはあるものの、ひたすら「腹減った」→「何食べよう」→「美味かった」みたいな感じで、全編通して単調に流れすぎたきらいがあります。そのゴロー節もドラマに寄りすぎてくどすぎる印象がありますし、旧作で話題になったアームロックも受けを狙って無理やりねじ込んだようで違和感を感じます。

おそらくは、ドラマから入った新規層を取り込みつつ、旧作ファンにも色目を使おうとソロバンをはじいた結果なのでしょうか。前作とは時代環境も違いますし、ドラマの成功や下手に影響力を持つポジションになったおかげで、シガラミも増えやりづらい部分もあると思います。また実店舗をモデルにしているだけに、昔と違って何かあればすぐ「祭り」「炎上」というご時世でもありますからね。
とはいえ、結果的には旧作のファンにマイナス印象を与えただけで、ドラマファンにアピールできた印象もありませんし、単純に作品として見ても到底成功したとはいえません。根強いファンに支えられてきた作品だけに、もっと大事にしてあげてほしかったと思いますね。