ゆるキャラ「どくフラワー」の着ぐるみアクターとして働く主人公には、若手の女流お笑いコンビを組んで活動している恋人がいる。ある日家に泊まりに来た彼女が作った目玉焼きをおかずに2人で朝食をとるのだが、彼女の目玉焼きの食べ方は自分の常識では考えられない食べ方だった。理由を聞いても納得できない主人公は思わず口にしてしまう。「おまえはバカか?」
サブカル系ギャグ漫画の奇才による日常グルメ漫画です。過去にはNHKでアニメ化もされて今度はTBS系でドラマになったようですね。この人に流行りもの企画のお鉢が回ってくるのは、想像していなかったのでちょっと意外でした。(ドラマ化についてはTVや映画の企画が貧困なこのご時世じゃさほど驚くにはあたいしませんが。)
いったいどんなことになるのかと思ったら、この作者としては信じられないくらい一般層に寄せてきて読みやすくなっているものの、やはり一筋縄ではいかないアクの強い作品になっています。
「調味料は何を使うか」とか「どういう順序で食べていくか」など些細なこだわりが強すぎて、自分の常識が揺るがされてショックを受けまくったり、他人の食べ方にダメ出しして余計なトラブルを起こす主人公。それが原因で落ち込んでいる時に、面倒見のいい職場の先輩や親友の助言で食のスタイル多様性に目を開かさて成長していく。
というのが定番の流れですが、当然ながら字面から感じるような堅苦しい話じゃありません。
タイトルでもわかるようにテーマはあくまで身近ながらマニアックな「食べ方あるある」が中心です。基本的にはそれに過剰反応して振り回される主人公やその彼女(実は彼女も食に並々ならぬこだわりがある設定になっています)をネタにしたをギャグ漫画であり、さらにはそういった食に対するこだわりをテーマにした日常グルメ漫画のパロディでもあるわけです。
比較的スッキリしたタッッチが多いのキャラクターの中で、主人公だけは泉昌幸作品のキャラのようにクドく暑苦しいタッチで描かれています。そんなこだわり系グルメ漫画のめんどくさいキャラが実際にいたら…というシチュエーションで、そこから起こる主人公のさらにめんどくさい一人相撲と、周囲との温度差や軋轢を笑いに持っていくというスタイルなので、主人公のキャラに本気で嫌悪感をおぼえてイライラするような人だと、この作品には向いていないかもしれませんね。
こういったアプローチは単発のネタとしては過去にもあったかもしれませんが、この切り口だけで攻めていくというのは以外にも今までになかった路線じゃないでしょうか。リサーチもかなりきっちり重ねているようです。また、主人公の仕事や恋愛、その葛藤や行き違い、ライバルや別の可能性の出現といった要素も適度に絡めて、マンネリ化や単調に流れるのを避けつつ長期連載をもうまくもたせています。
単なるストーリーもの・グルメものとして読むこともできますが、それだけだを求めているとあまり楽しめないかもしれません。作者独特のノリや微妙なセンスを共有できる人だと、より楽しめると思います。
逆にいつものアクの強いギャグ路線だけを期待すると、それはそれで消化不良かもしれませんけどね。
