ダンジョン飯がいろいろ凄すぎる!

最近評判の高いグルメRPGファンタジー漫画。正直たいして期待もせず5巻まで読んだんですが、これがかなり面白い!ごめんなさい、ちょっとナメてました。
マンガ大賞2017では堂々3位にランキングしていましたが、それも納得のクオリティです。

舞台はとある島にあるダンジョン。かなり実力のあるパーティーがドラゴンに挑むが、空腹で集中できなかったせいで負けてしまい、僧侶ポジションである主人公の妹が食べられてしまう。
なんとか脱出を果たし妹を取り戻すためにリベンジしようとするが、装備こそ残っているものの身の回り品を現場に置いたままなので、銀行で現金を引き出すこともできず備品や食料も買えない。しかも仲間のうち2人はこのタイミングで抜けてしまった。
やむなく残り3人で再度ダンジョンに突入するが当然食料は買えない。そこで主人公は仲間を説得?し、以前から興味を持っていた魔物を食材にした「魔物食」を実行しようとする。子供の頃から愛読していた「魔物グルメ本」を参考にいざ料理というところに、ダンジョン内で長年自給自足の生活を送っているドワーフが現れて…
というのが出だしのエピソード。

メインキャラクターは、実直だかかなり天然かつヘンタイで魔物マニアな人間の戦士ライオス、クールな役回りの多いエルフで天才魔術師なのにドジっ子&ツッコミ役のマルシル、現実的かつ比較的常識人でダンジョンのトラップに詳しいのハーフフットの鍵師チルチャック、こだわりが強く頑固だが面倒見が良く魔物食のベテランでもあるドワーフのセンシの4人。

基本的には、あの「孤独のグルメ」あたりをルーツとした日常グルメものと、「聖お兄さん」で火がついた神話・伝記系の薀蓄小ネタギャグものをミックスしたようなテイストで、グルメ漫画傍流の架空グルメもののハシリみたいな作品でもあります。
コンセプトだけだといかにも時代の徒花で終わってしまいそうな内容ですが、予想外だったのはこの作者の技量が総合的にかなり高いレベルであること。
人物だけではなく背景や小物まで安定した高い画力、作画センスがベースにある達者なマンガ描写。マニアックな小ネタをふんだんに詰め込みながらも、あくまでストーリーテリング重視の作家性の高さ。かなり計算されたプロットやキャラクターの作りこみ。決して天才型ではないですが、作家性と職人的な漫画スキルは相当なレベルです。
マニアックな内容ながら幅広い層に受け入れられたのは、RPGファンタジー的なタームがある程度一般常識かしていることもあるでしょうが、それらの要素を様々なテクニックで日常的に落とし込むことに長けた、作者の知識と技量による部分が大きいでしょう。

新人かと思ったら、かなりのベテランのようで、過去作を見てみるとSFやファンタジーなどセンスオブワンダーなショートショートを中心に活動してたようですね。画風も多様性があってなかなか器用な方のようです。
ひと昔前だったらアフタヌーンのアート/作家系の玄人向け枠あたりにおさまっていそうな作風です。

4巻で一応のクエストがひと段落して、最新刊の5巻は今までエピソードや人物描写に散りばめていた、幹につながる枝葉のような伏線をひっぱってきつつメインストーリーが進行し始めました。
初期の一話完結魔物食ギャグ路線を楽しみにしていた読者は、メインストーリーが動き出したのを引き伸ばしのための路線変更と見て歓迎しない向きもあるようですが、過去に貼られていた伏線を見るにこれは作者の構想の範囲内の展開でしょう。ドラゴンとの戦いがメインとなった4巻こそ「魔物食」ネタは少なめでしたが、5巻からはしっかり絡めてきてますしね。

ストーリーに関わってきそうなキャラクターも増えてきて、その関係性も込み入ってきました。
登場の度に全滅している経験値の低いパーティーがあり、そういうネタ用の役回りかと思っていたら彼らもメインストーリーにも絡んできそうです。そのリーダー、ダンジョンや魔物の存在とその悪影響を危惧していて主張はもっともなのですが、過去家族が魔物の犠牲になったか何かワケありのようで、私怨の方が強いのかだいぶ歪んでいて主人公にも否定的、敵愾心みたいなものを持っています。
いろんな意味で人間相手の立ち回りは上手いですが、魔物相手やダンジョンでのサバイバルはからっきしと、主人公と対照的な存在に描かれていますね。今のところいい印象のキャラ描写にが全くなくて読者受けも悪いようですが、当然それは意図したところでしょう。これからどう動かしていくんでしょうかね。
主人公パーテイーを抜けた2人もいなくなっただけではなく、それぞれのパーティーで目的を持って動いています。
武器に詳しいドワーフのナマリはダンジョンの調査をしている学者ファミリーと、侍のシュローは自分の家臣らしい一団と。この2組にもいろいろエピソードがありそうで、どう話が広がっていくのか今後の展開が楽しみです。。
のんきな食マンガだけでは収まらなくなってきましたが、この作者ならばそのあたりは上手くやってくれることでしょう。